グッチ裕三のメンチカツ屋騒動。世間との温度差が招いた損失

ステマ問題を機に、世間では芸能人や著名人によるレコメンドに対して、以前よりもいささか懐疑的な目が向けられるようになっている。

ここ最近でも、ネットメディアでは記事広告に関しての話題がたびたび記事化され、そのたびにメディア関係者や一部のネット愛好家たちが論争を繰り広げている。

その多くは、よりよいメディアの在り方を問い、あくまでも何が一番ユーザーにとって良いものであるのかといった考えのもと、それぞれの意見を繰り広げているにすぎない。そのため、ペニオク騒動の頃のような、読者を完全に騙した宣伝類は大前提として、「あり得ない」ものとして認識されている。

しかし、一方で芸能人や著名人による分かりづらい宣伝手法は後を絶たないようだ。アメリカ通商委員会(FTC)では、一部のインフルエンサーたちにしっかりとスポンサード表記を明確にするようにといった旨の通達を行い、主な活動場所となっているInstagramも、スポンサード投稿をわかりやすくする仕組みを用意するといった動きにつながっている。

FTC〔アメリカ通商委員会〕は最近、90人以上のインフルエンサーに対し、スポンサード投稿について「明確かつ目立つような方法で」そのことを表示すべきだと警告する書面を送った。

出典: jp.techcrunch.com

 

そんな中、日本の芸能界でもあまりよろしくない話が飛び込んできた。今回の話題の中心人物は、料理愛好家としても知られ、数々のレシピ本も書かれているタレントのグッチ裕三だ。

タレントのグッチ裕三(65)がテレビのバラエティ番組などで浅草のメンチカツ屋を大絶賛。おかげで、行列の絶えない名物グルメ店となったものの、食べ歩き客があふれ、他の店舗から苦情が出ているという。しかも、このお店、実はグッチ裕三自身がオーナーで、そのことを隠して、宣伝していたのだ。

出典: www.dailyshincho.jp

記事によると、グッチ裕三は自身が役員に名を連ねるファミリー企業が運営するメンチカツ屋を、たびたびメディアで紹介し、さらにその際に自身が経営に関わっていることを明かさずに、あくまでも赤の他人のような振る舞いをしていたというのだ。

実際の番組を拝見していないため、この記事にかかれていることの真偽は不明だが、書かれていることが全て事実であるとすれば、これは視聴者を欺いたと言われてもしかたないだろう。

しかし、なぜに氏はこのような宣伝手法をとってしまったのだろうか?

これまでの彼の実績や、愛されるキャラクターからしてみれば、メディアで紹介する際に「実はこのお店、私のお店です」と言ったほうが、むしろプラスになったのではないだろうか。

もともと、グッチ裕三の名前を一切出さないで、店舗経営に当たってきたものであり、お店にもグッチ裕三と関わりをうかがわせるようなポスターなども一切貼付等しておりません

出典: www.dailyshincho.jp

 

あくまでも関わりを明かさずに、これまで頑張ってきたというのであれば、なぜ今回のような手法をとってしまったのかは甚だ疑問である。メディアで、氏が紹介するとなった時点で、そこは明かしておくべきだったのではないだろうか。

かつてのマスメディアは、こうしたステマのような手法を、あまり問題視していなかったが、昨今はかなり視聴者も敏感になっているため、取り扱いには注意していたと思われる。しかし、情報番組の現場では日頃のネタ不足に悩まされる中、どうしてもチェック不足になっていたことはあったのであろう。

しかし、もしかしたら、氏が番組内で発言していたものを、制作サイドの判断でカットした可能性もある。そうとなれば、それは由々しき事態だ。こうした疑いを持たれてしまうことを考えれば、今回のような事実が判明したグッチ裕三は、番組側としては今後キャスティングしづらくなってしまう。

氏が最初から明らかにしていれば、むしろ好意的に受け止められたであろうことが、今回のように隠していたことがバレてしまっては、タレントとしても、お店としてもイメージダウンにしかならない。

冒頭でも述べたように、以前よりもユーザー側は厳しい目で、メディアを見つめている。だからというわけではなく、これまでも、これからも、大事なことは意図的にユーザーを欺くような、不誠実を行わないことが重要だということだろう。

メンチカツを揚げる油よりも、もっと世間との温度差に気を配った方がよかったのではないだろうか。

黒宮 丈治
1978年生まれ、福岡県出身。30種以上の職を渡り歩いた後、フリーライター/プランナーとして活動。取材記事を中心に、エンタメからビジネスまで幅広く執筆。