クラウドファンディングは、支援者にとって優しいのだろうか?

クラウドファンディングのサイトも随分と一般的になってきた。

その仕組み自体は遡るとかなり古くからあるようだが、インターネットでのクラウドファンディングの歴史はまだ浅い。米Kickstaterは2009年開始、日本だとcampfireが2011年、makuakeが2013年設立と、ここ最近のサービスであることがよくわかる。

多少の違いはあるにせよ、クラウドファンディング自体のおおまかな仕組みは、資金的援助を求める人・団体が、支援者を募るものだ。その資金の多くは、サービス・プロダクト・イベントを生み出すために使われる。

SNSの普及も相まって、支援を求める側の記事も、支援する側の投稿も、ずいぶんと頻繁に見かけるようになった。私も、友人・知人をはじめ、賛同したプロジェクトには、わずかばかり支援をしている。

クラウドファンディングは、サイトによって目標金額を達成しなければ、プロジェクト自体が消滅するものもあれば、達成しなくてもプロジェクト自体は継続するものもある。そして、最初から製品を作ることが決まっているものもあれば、お金が集まってから実際に作りだすものまで、プロジェクトによって様々だ。

今朝、クラウドファンディングに関する1つの記事を見て、あることに気がついた。

「そうだ、このプロジェクトに支援したけど、リターンを受け取ってないな…」

プロジェクトの期間も、1週間程度のものもあれば、数カ月に及ぶものもあって、早々に支援した人間は、自分が支援していたことを忘れることも珍しくない。

今朝のプロジェクトも同様に、私の記憶の奥底に忘れされていた。私が単純に連絡を見逃しているのか?と思ったのだが、クラウドファンディングサイトのメッセージ欄には、何も連絡が入っていないのを確認した。

そして元々のプロジェクトのページを観てみると、返礼品のやりとりは、eメールで行うため、メールアドレスを登録して欲しいといったような内容が書かれていることに気がついたのだ。

メッセージ機能が、クラウドファンディング・サイト自体にあるにも関わらず、返礼品のやりとりはメールにて行うというのは、おそらく連絡をスムーズにするためであるかとは思われるのだが、それにしても返礼品目的である場合、支援した側から連絡しないと、返礼品がもらえないのも、何とももんやりする。

今回私が忘れていたプロジェクトの人物は、おそらく悪意があったわけではないだろう。しかし支援された側は、支援してきた人物は、ワン・ノブ・ゼンとしか思っていないため、返礼品を渡しそびれていることには、気づかないのが現状なのだろう。

これは、クラウドファンディング・サイト全体における、ちょっとした問題な気もする。

例えば簡単な仕組みとしてメッセージのやりとりは、必ずサイト内で行うといったことや、返礼品が渡されたかどうかのチェックボタンの設置、オークションサイトのような評価機能など、仲介者であるクラウドファンディング・サイト自体が、支援をした側が損をしない仕組み、そしてまた支援したいと思わせるようにするのは大切なミッションではないだろうか?

サクセスしたプロジェクトに光があたり、支援された人物は成功者としてインタビューされるが、支援した側の記事は当然のようにほぼ見かけない。むしろ、見かけたとしても、プロダクトが送られてこなかったといったネガティブなニュースばかりだ。

もちろん、真面目に返礼品が全員に行き渡るように努力している人も数多くいるのは分かってはいる。私自身は、クラウドファンディングはもっと普及して欲しいと思っている側でもある。

今回ふと問題提起のような書き方をしたのは、今後もクラウドファンディングが普及・発展していくためには、支援したことで失望してしまう人を、極力減らしていくことが重要ではないかということだ。

小学生の頃に、ファミコンのカセットを貸したまま、気づいたら2年ぐらい経っていて、貸した相手も借りたことを忘れて、そのカセット自体もどこにあるかわからなくなっていた…なんてことがあった。これに非常に似ていると思った。

支援される側は、サクセスしたプロジェクトを、しっかりと形にすることに注力するのは当然なわけで、返礼品まで頭が回らないのは、やや仕方ない。だからこそ、そうならないために、仲介者であるクラウドファンディングのサイト自体が、支援する側にとって、優しい仕組みになる必要があるのではないだろうか。

今日は七夕だ。クラウドファンディングがさらに普及・発展して欲しいと、星に願いを込めて。

黒宮 丈治
1978年生まれ、福岡県出身。30種以上の職を渡り歩いた後、フリーライター/プランナーとして活動。取材記事を中心に、エンタメからビジネスまで幅広く執筆。